昇る日
   〜昔の話〜
「圭に会ったのは、本当に偶然…」
「何処から来た?」

晃の質問に怜は暗い表情をする。
言いたくないと言うのではなく、何か思い出したくない様だった。

「佐口って官僚のお屋敷…」

晃だけでなくその場にいた万作、圭の顔も険しくなる。
佐口は政府の中でも力を持っている部類の官僚である。政府軍を動かせる数人の内の1人。
暁の党にとって大きな敵である。

「圭、やっぱり…置いておくのは…」
「晃くん、逃げてきたって行って!」

「2人とも、怜ちゃんが怖がるから。怜ちゃんはどうして、逃げてきたの?」
「……。」

唇を噛んで眉を寄せる。
離したくないのだろうか、万作は困った顔をして圭を見た。
怜が気を許しているのは圭だけだから。

「怜、取り合えず、何で佐口の所にいたんだ?」
「突然、お家に軍の人達が来て…

*****

乱暴にドアを開ける音がして、怜は自分の部屋から1階に降りた。リビングには軍服を着た人達が10数人いた。
父親と何か話しているようだった。
怜の家は比較的裕福な貴族だった。しかし、政府の意見には反対をしていた。
父親が怒ったように立ち上がり、何か叫んでいる。次の瞬間。
パァンッ…!!
母親の叫び声が聞こえた。リビングの扉が開き、軍服姿の男が怜の目の前に現れた。

「怜ちゃんかな?」

男は優しい声色をしていた。

「…うん…父様は?母様はどうしたの?」
「ご両親に会いたいなら、ついておいで」

男の後ろにだらんと力無く肩に担がれている父親を見た。母親は無き崩れていた。
怜には理解が出来なかった。何が起こったのか。

「父様!!?」

駆け寄ろうとした。その時ゴッと体に痛みが走り、意識が遠のいた。
気がついたとき、怜は遊女や踊り子が着るような衣装を見に纏い、大きなふかふかとしたベットの上に寝ていた。
ズキズキと頭が痛んだ。
ガチャ…
ドアが開き、家で何度か見たことのある男、佐口がこちらに向かい歩いてきた。

「あぁ…やっと手に入ったよ…」

声がでない。体が動かない。
怜はどうすることも出来なかった。佐口は家であった時、にこにこと自分に花束を渡したり、宝石を渡したりした。
自分は男なのにと、怜は良く思っていた。

「薬が効いているのかな?怜の声が聞きたいのになぁ…」

佐口はいやらしい笑みを浮かべて、怜を舐めるように見る。

怖い

直感で怜はそう感じた。逃げたいけれど薬のせいで体が動かない。声もでない。力が入らないのだ。
佐口はフワフワとした怜の衣装に手を伸ばし、するりと脱がせていく。陶磁器のように白く美しい怜の肌が外気にさらされる。ごくり…と佐口の喉が鳴る。

「綺麗だ…まだ誰も触れていないのだな。売女何て比べ物にならんな…」

佐口の手が怜の肌に触れる。ゆっくり堪能するように撫ぜた。
ぞくりと悪寒が怜の背中を走る。佐口は小さな瓶と水の入ったコップ、カプセルを持ってきた。
カプセルを口に入れ、一緒に水も口に含む。そのまま怜に口付け、カプセルと水を無理矢理に怜に飲ませた。
訳の分からないままに怜は佐口を見つめる。薬が少しきれてきたのだろうか、少し体が動く。

「…ゃだ…」
「おや?薬がきれてきたか…まぁよい。怜の可愛い声が聞けるしな…」

佐口は怜の体をくるりと反対向きにし、枕を腹の下に敷いた。
必然的に佐口に向け尻を突き出す格好になる。怜はかぁっと顔を紅くさせ抵抗しようとしたが、思うように体が動かない。佐口はつつっと怜の蕾に指を這わせた。

「誰も触れていないのだな…何処もかしこも美しい」

その指をくぷっと中に押し入れる。
ビクリと怜は体を強張らせた。とろっと冷たい液体が体の中に入ってくる感触がした。同時にぬちゅっと指が差し入れされる。ぞわっとした寒気にポロリと涙が落ちる。

気持ち悪い……っ

「あんっ…」
「効いてきたな…すぐに気持ちよくなるよ、怜。」

ぐちゅ…といやらしい水音。

「アアっ…あっ…ぁあんっ…」
「いい声だ…そろそろ、私を気持ちよくさせてくれないか…?」

とろとろに解けた蕾から指が抜かれる。
怜は虚ろな目で佐口を見る。「どうして止めたの?」と鮮明に表情が語っていた。佐口はズボンのジッパーを下ろし天を仰ぐ自身を取り出して見せる。

「言ってごらん…欲しいだろう?」
「はぁっ…ちょぅだぃっ…りょぉに…それっ……ねぇっ…」

じゅぷっと蕾から蜜が溢れる。

「あぁあっ…ァァア…アっ…あっ…」
「気持ちいいだろう…怜…」
「アアァ…ひぁっ…ああぁぁあっ…」



揺すられて眼が覚めた。
そこはふかふかの大きなベットの上。服装はさっきとは違うけれど、やはりふわふわとした衣装。
ズキズキと痛むのは頭ではなくて、腰と喉だった。
それから、佐口は「体には害は無いよ、気持ちよくなるだけだ…」と薬を飲ませ毎夜怜を抱き続けた。

ある日、屋敷が騒がしくなった。警備の軍人もいない。怜は意を決して部屋を出た。
誰もいない。ただ、外が騒がしい。
怜は走って外に出た。屋敷の中では誰にも会わなかった。この屋敷が何処にあるか何て解らない、家に帰りたい父様と母様に会いたい。その一心で走った。しかし、長い間外に出てかった怜にそんな体力があるわけでも無く、疲労に倒れてしまった。
そこに、基地に戻る途中だった圭が現れ、怜を助けたのだ。

****

「…っ…ふぇ…」
「万ちゃん泣かないで、ほら」

怜の話に万作はぽろぽろと涙を流した。圭も晃も怒りの表情を露にしている。怜の話からするに、もう怜の両親はこの世に生きてはいないだろう。怜は解っていないようだが。

「晃君…怜をさ、」
「あぁ、許すよ。圭がちゃんと責任を持てよ?」
「わかってる。」
「圭、ぁりがとぅ…それと…万ちゃん?泣かなぃで…」

万作は涙を拭い、じっと怜を見た。

「怜ちゃん…あぁ男の子だったね、じゃぁ怜くん、もう心配しなくていいから、ここにいれば圭が守ってくれるからさ!!」

怜は初めて見せる笑顔を三人に見せた。元々人懐っこい正確のようだ。
その明るい笑顔に少し安心した。

「怜、辛いこと話させて悪かったな…疲れただろ?俺、ここにいるからさ、もう寝ろよ」
「…ぅん…ぁりがとぅ、けぇ…」




はい。表なのにェロシーンを乗せるなって感じですね!!
書きたくないけどいるシーンだったのです。
圭以外に抱かれる怜なんて書きたくないよう…(泣)
気分害されたら裏に行って気分戻してくださいな。。

2004/9/19  .t