てか、急にキスなんかするから悪ぃんだし！大体、俺は男だし！！そりゃ、女装してるけどさ…。
…別に嫌だった訳じゃなぃんだけど…びっくりしたって言ぅか……
あぁ…顔会ゎせづらぃなぁ……
ぐるぐると頭の中で考えながら、怜は自分の部屋に向かっていた。授業は終わっている時間のはずだから、部屋には御門がいるはずだ。愚痴でも聞いてもらおうと怜は少し歩く速度を速めた。
ガチャ…
「あ、お帰り〜」
ドアを開けて迎えてくれたのは、御門ではなく万作。無論、御門も部屋の中にいる。
もう一つ不思議なことに、怜の荷物が部屋の中にはない。
「…万ちゃん…？？」
「はーいｖｖ怜の部屋はリヴからクラウンに移されまーす。荷物はすでにクラウンの怜の部屋に移動させましたぁｖｖ」
「え？そうなの？じゃぁ私１人部屋？」
キラキラとした光が出ているかのような笑顔で万作は怜に説明する。
「えぇぇ？」
「さぁ、クラウンに行きましょーーｖｖ」
万作は怜の腕を掴み、御門にひらひらと手を振ってから部屋を出た。
未だ、状況を把握できていない怜は、万作が楽しそうにする説明らしきものをぼやぁっと聞いていた。
まず、生徒会役員に成ったのでクラウンに自室をもらうこと。すでに怜の荷物は運びこまれていること。万作も晃も、もちろん圭もクラウンに住んでいること。部屋は圭の隣の部屋で、向かいが万作の部屋、万作の右二つ隣が晃の部屋と言うこと。他の生徒会役員とはなぜか違う階に部屋があると言うこと。
万作の話を聞いているうちにクラウンに到着。
エントランス、エレベータ、広い廊下。本当に学生寮なのだろうかと疑ってしまいそうになるほどに、豪華な創りだ。怜の部屋の扉にはきっちりと「児玉 怜」と書かれたプレートがあった。
もちろん隣の扉には「濱田 圭」のプレート。向かいの扉には「林 万作」、その並びに「大野 晃」と書かれたプレート。
「はい、ここが怜の部屋ね。これが鍵。カードだからなくさないでよ？」
部屋の中もマンションの一室と言う感じ。ただ、キッチンが無いだけで他は変わらないだろう。
「…あ、荷物置いてある…」
「じゃ、何か困ったことがあれば、この万ちゃんに言ってねｖｖ」
万作は心底楽しそうに自分の部屋に戻って行った。
…生徒会役員ってそんなに優遇されていいの…？？
俺何も特技とかないんだけどなぁ…いいのかなぁ…
怜は備え付けのベットの上に寝転がった。ふかふかの布団の心地よさに次第にトロンとして、そのまま怜は眠ってしまった。
コンコンコン…
ドアをノックする音に目が覚めた。
一瞬、ここは何処？と思ったが、すぐにクラウンに連れて来られたことを思い出した。
「はーぃ…晃先輩？」
「怜に電話だよ、この廊下真っ直ぐ行って曲がったところに電話あるから」
「ありがとうございます。」
ぺこりと頭をさげ、カードキーを持って電話に出るために廊下を歩き出した。
クラッシクの保留音を鳴らしている電話の受話器を手に取る。
「もしもし？」
『学校どうだ？生徒会役員になったんだってな』
「う…そうだよ…変な人多いって生徒会は！」
『電話に出た大野君はしっかりしてそうだったぞ？』
「あの人は、ね。それより、何か用？」
『いやー息子の可愛い姿が見たかったのに、怜、俺が帰る前に学校行っただろ？母さんは見れて俺は見れないのは残念「用事は？？？！」
ぐだぐだと愚痴を言いはじめた父親の言葉をさえぎる。だいたい、こんな格好で学校に通わなければいけないのはこの父親のせいなのだ。
『近いうちに怜に会いに行くから、彼氏でも紹介してくれたまえ（笑）』
「…息子に何言ってんですか。ってか、絶対来なくていいよ…」
『そうかそうか、残念だな…もう好きな人がいるのか…父さん楽しみにしてるからな』
「聞いて無いし！もういいよ…じゃぁ」
まだ何か話していたような気がするが、怜は受話器を置いた。
世間一般にはいい父親なのだが、少し…否大変に変わっているのだ。昔から１人息子の怜が父親の被害にあってきた。嫌いではないが特に好きでもない。
女装させて息子を学校に通わせるような父親が変わっていないなら世間では何を変わってるというのだろうか…。それとも、変わっているのは自分なのだろうかと、時々真剣に悩んでしまう。
知らず知らずの内に溜息が出てしまう。
そう言えば、父親も母親もこの学校の出身だったはず。２人とも生徒会役員だったのだろうか。
怜は部屋に入り、鍵をかけたことをしっかりと確認してから、掛けている眼鏡を取り、カツラを取った。
それからさっさと制服を脱いだ。１人部屋だと女装しなくていいのは楽かもしれないと、心の中で思う。
風呂にゆっくりと浸かり、備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、ベットヘッドに置き、怜は眠りについた。
何かようわからんけど…とりあえずここまで。
って圭が出てきてないやん！！！ヽ(`Д´)ノ
次は圭ばっかりかも…頑張って怜を落としてください(ц_ц*)
2004/9/30 ．ｔ