Under The Roes  03
ピンポンパンポーン…ガチャ、

「あー、児玉 怜。児玉 怜、今すぐ生徒会室に来い。以上」

ガチャ…ピンポンパンポン…

低く、態度の悪い声が校内に響き渡った。呼び出されたのは自分。読んでいるのは、初日にぶつかった「生徒会」の「人気者」。
教室が少しざわめき、親衛隊のお嬢様方は呼ばれた怜をキッと睨んでいる。隣にいる御門はくすくすと笑っている。

「淳…一緒に来てょ…」
「はいはい。行こうーvv」

楽しそうなとは裏腹に、怜の顔色は冴えない。
生徒会室までの(怜にとっては)長いようで短い廊下を歩く。無駄に広いこの学園には、校舎と呼ばれるものが3つある。職員舎と呼ばれる教師ための校舎、学年舎と呼ばれる普通教室だけの校舎、特別舎と呼ばれる普通教室でない教室だけの校舎。ひとつの校舎が無駄に大きい。職員舎の1階は職員室だが、その上の階からは住み込みの教師用の寮になっている。
生徒用の寮は6つ。一般入試の生徒の寮「リヴ」「レラ」「ジョイ」、特別入試の生徒の寮「ライア」「ミリア」、生徒会に所属する生徒のための寮「クラウン」である。クラウンは他の寮に比べ、群を抜いて高級な作りになっている。見た目はそれぞれ、高級マンションのようだ。

「生徒会室」と大きく書かれた扉の前にたった。
途端にガチャッと扉が開いた。

「いらっしゃーいvvv待ってたよ怜ちゃんv」

怜と御門はあっという間に生徒会室の中に入れられてしまった。
そのなかは、「学校」と言う感じのまったくしないマンションの一室のような造り。生徒会が特別なのがよく分かった。

「…何か用ですか?」
「生徒会入れるって言ったよな?俺。」

怜の問いに、きょとんとして圭は晃に聞いた。

「言ってたな、ってことで、ここに名前書いてね」

にこりと笑顔の晃から手渡されたのは、上質紙に「手続書」と印刷されたもの。名前を書く欄だけであとは、規約のようなものが書かれていた。
晃は「名前だけ書けばいいから」と怜にペンを渡した。

「怜、用事あるし、私帰るよ??」
「ぅ…ぅん、ぁりがとぉ…」

実際帰って欲しくはないのだが、、、。
逆らえない雰囲気に怜は名前を書く。それから、その髪を晃に渡した。

「おめでとう、これで君も生徒会の一員だ。っと言ってもすることとかはないから安心していいよ。生徒会特典がいくつかあるだけだしね」
「クラウンが住居になりまーすvv仲良くしようねvv」
「はぁ…(やっぱり変な人達だょぅ…)あの、生徒会長って誰なんですか?」
「あぁ、晃くんだよ?副会長が圭で、俺は書記なんだよ、あと何人かいるけど、会わないと思うから紹介はいいよね」

にこにこと万作が話す。

「万ちゃーん、コーヒー入れてよ」
「もー自分でしなよ圭…あ、晃くんも飲むよねーvv」
「ありがとう、万ちゃん」

パソコンに向かっていた圭が言葉を放った。「誰にでも命令口調なんだ」と怜は呆れる。
圭によって強制的に座らされた圭の隣で、大人しくしていると、目の前にコトリとケーキと紅茶が置かれた。顔をあげると万作がにっこりと微笑んでいた。

「圭にはコーヒーで、怜ちゃんにはこれねvv甘いもの嫌い??」
「ちょぉ好きですvv」

思わず笑みを浮かべてしまう。隣の圭は苦い顔をしていたが。
口に入れたケーキは上品な甘さでとても美味しかった。

「あ、万作先輩「万ちゃんねv」
「…万ちゃん、怜って呼び捨てでいいですよ?」
「そう?じゃ、怜、俺達に敬語は要らないよ?同じ歳って感覚でいいし。」
「何で私、ここに呼ばれたのかわかんないんだけど…」

怜は思ったことを言ってみる。自分に天才的な要素は無いし、周りから注目を受けるようなこともしていない。否、そんなことは出来ない。自分が男だとばれてはいけないから。
カツラをかぶっているので少し長めのショートヘア、目は悪くは無いけれど、カモフラージュに眼鏡をかけている。ピアスはついたままだが。

「俺が気に入ったから。文句ある?」

片方の口角だけを吊り上げ、圭がじっと怜を見る。

「あははーvv圭が怜を好きだからvv」
「あー言っちゃった」
「万ちゃん!!」

「えぇ!!?///」

万作はにこにこと楽しそうに話す。実際楽しくて仕方が無いようだが。
怜は思わず圭を見る。圭はバツの悪そうな顔をしながらも、怜と目を合わせた。

「万ちゃん…何で言うかなぁ」
「えーvv何となく??」
「俺がオトスからいいってのに…」

「え…マジ…??」
「マジ。一目惚れってやつ?」

ほぼ素で言葉を発してしまった怜に圭が平然と答える。万作と晃はその様子を楽しそうに見守っている。否、面白いことにならないか楽しみでしょうがないのだ。
固まったままじっと圭を見つめる怜に痺れを切らした圭が、ちゅ…と怜に口付ける。

「っ!?…このっ…何しやがる!!最悪!!!」

バチンッと怜の手が圭の頬を叩く。その後すぐ、勢いよく椅子から立ち上がり、口元を手で押さえたまま生徒会室を駆け出して行った。
叩かれた圭は唖然と怜が出て行った扉を見つめた。女の子に叩かれたのは初めてだ。

「あららー圭、大丈夫?/笑」
「あーあ、クッキリ手形が残ってるな…救急箱っと/笑」

楽しそうに圭の顔を覗きこむ万作と同じく楽しそうに救急箱を取り出す晃。「痛そー」と眉を寄せる万作が圭の目の前でちらちらと手を振る。

「けーいー?」
「…痛ぇ」
「だろうな、腫れてるなーシップ貼るか」

晃は手際よく圭の頬に湿布を貼り、テープで固定する。見事に怜の手形がクッキリと浮かび上がっていた。





痛そう…(自分で書いといて)
とりあえず、書きたかったとこ二つ目です。怜にほっぺ殴られる圭(笑)
まぁ、頑張って圭!!ってことでいい?

2004/9/25  .t