Under The Roes
暖かな陽気に包まれる春。
この季節、西園寺学園では入学式と言うイベントがある。どの学校にもあるこの行事の新入生代表は主席の生徒、在校生代表は生徒会長と言ういたって何も変わりはないものだ。
「 …以上。生徒代表、西野 光。」
生徒会長の眠たくなるような挨拶に、一同が礼をする。
引き続き、新入生の挨拶。
「 …新入生代表、児玉 怜。」
どんっ…
「ぅわっ…」
「いて…」
ぼうっと学園の様子を見ながら歩いていた怜は、前から歩いてきた人にぶつかり、尻餅をついてしまった。
そっとぶつかった人物を見上げると、そこにいたのは…明るい茶色の髪をした綺麗な人とサングラスをかけた暗目の茶色い髪の人。それから、怜とぶつかった長い前髪に眉ピアス、黒髪何よりも均等のとれた身長と整った顔をした人。ネクタイピンに緑の石が着いているので二年生と言うことが分かった。
「ごめんねー、大丈夫?」
怜に声を掛けたのは、ぶつかった相手ではなく、隣に立っていた綺麗な人。
「あ…はい…すみませんでした。」
怜はぺこりと頭を下げた。
「一年?」
ぶつかった彼が怜に話し掛ける。
「はい…児玉 怜です。」
「あぁ、主席ちゃん。お前立った方がイイんじゃね?」
ニヤリと笑いながら言われた。
そこでやっと、怜は自分の格好に気付いた。尻餅を着いた所為で、履いている只でさえ短いスカートが捲れ、太腿がぎりぎりまで見えてしまっている。
かぁっと顔を紅くして怜は慌てて立ち上がった。
「イイ足してるな(笑)」
「きゃー、晃君、圭がエロイ!(笑)」
「圭、万作。お前ら、いいかげんにしてやれよ(溜息)」
「…///(何だよこいつら!特に眉ピ!!)」
晃が、2人を黙らせる。
その時、何処からか数人の女生徒が走ってきた。
「万作様達見つけたわよー!!!」
甲高い女生徒の声に、圭が嫌そうに顔を顰める。
「…お先にっ!!」
それだけ言うと圭は走り出した。おそらく、女生徒から逃げるためだろう。
「あ!圭セコイ!!!圭がごめんね、怜ちゃん。じゃぁ!」
「あ…はぁ。;」
万作と晃も圭の後を追って走り出した。
その様子を怜は、きょとんと眺めるしか出来なかった。
「あなた、万作様たちと何を話していらしたの?」
「え…?」
栗色の長い髪の女生徒が怜に話し掛ける。
嫌に上から物を見た言い方だ、怜はかちんとした。
「別に。」
「万作さまは誰にでも優しいんですもの」
「話掛けたのが例えあなたでも、お話してくださいますわ」
ふわふわとカールした髪の女生徒がツンっとした話し方で怜に言う。その言葉に周りにいる女生徒達が頷く。
(なにこいつらも…俺ぶつかられただけじゃん!?)
無性にいらいらとしてきた怜は、女生徒らを無視して歩き始めた。後ろから「少し万作様と話せたからっていい気にならないことですわ!」「圭さまは嫌がってらっしゃったでしょうね」など言っていた気がしたが、それも無視した。
だいたい、怜は男なのだ。
いくら、さっきの三人がかっこよくても関係ない。
(圭って人はちょぉかっこよかったけどさぁ…でもぁんまり好きじゃなぃ…)
女生徒の制服を着ているのには訳が有る。本来はちゃんと男子として入学するはずだったのだ。それもあって怜の機嫌はあまり良くない。
西園寺学園は全寮制。
基本は2人で一部屋である。怜のルームメイトはショートカットの一見男の子のような雰囲気のある女の子、御門 淳(ミカド ジュン)だった。
「あれ、あんた早いね」
「…御門さん?」
自分のベッドに寝転がっていた怜は入ってきた御門の方向を向き、口を開いた。御門はスポーツバックを片手に持ち、立っていた。
「そう、淳でいいよ。私も怜って呼ばせてもらうからさ」
にっと笑う。やはり、女の子と言うよりも男の子と言った感じを受けた。
「よろしく、淳」
つられて怜もにこりと笑顔で答える。
「可愛い顔してるね、怜って」
「…そうかな…?(嬉しくなぃって)」
「そうそう、頭もいいんでしょ?」
「まぁ、普通かな。」
御門はスポーツバックを床に置き、ベットに座った。ちょうど怜と向き合う形だ。
「自己紹介するよ。私は、御門 淳。バスケやってる、んで実は、ここのお嬢様方はちょっと苦手(笑)」
「児玉 怜。クラブには入らないつもり、私もここのお嬢様たちは苦手だよ…今日ちょぉ思った。」
くすくすと笑い合う。
(淳とは仲良くやれそう…よかったv)
初めて見ました。女装の怜ちゃんシリーズ。
まだ圭のことは苦手意識です。実はちょっと気になってたり。
オリジナルキャラが多量に出てきますけど…覚えなくて大丈夫です。
まぁ、御門 淳、彼女だけ覚えておいてください。
圭はこのときすでに、怜に惚れてますからvv
怜の綺麗な足にノックアウト(爆笑)
2004/9/5 .t